だいいとく・みょうおう
大威徳明王騎像
木造彩色(乾漆補) 高さ:約1.4m
国宝(平安時代 839年)
大威徳明王の梵語名:ヤマーンタカは「死の神ヤマ(=閻魔)を倒すもの」
の意味で、降閻魔尊とも呼ばれます。阿弥陀如来の化身として、
一切の悪を降伏させる力を有します。
最大の特徴は、六面(顔が6つ)・六臂(腕が6本)・六足の異様な姿で、
特に多足はこの明王に限られた特徴です。
この特徴から六足尊(ろくそくそん)の別名もあります。
六面は前六識(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚、霊感)を表し、
六手は六波羅蜜業(布施、持戒、忍辱、禅定、精進、般若(智慧))
を成し遂げた事を表し、六足は人々が迷う六道を清めるとされます。
顔には各面とも三目あり、中央の2手は檀陀印
(小指を薬指の内側に入れて絡ませ、中指を立てて合掌する)を結んでおり、
左右の4臂には鉾・剣・竜索・宝棒を持っており、水牛に跨っています。
これは水牛が田んぼの泥水の中を歩き回るように、
あらゆる障害を乗り越えて進んでいくことを表しています。
平安時代、承和6年(839年)に完成。