ふくうじょうじゅ・にょらい
不空成就如来座像
木造漆箔 高さ約53cm
重要文化財
不空成就如来は梵語名はアモーガシッディで、アモーガ(=不空)は
「空(むな)しからず」という意味を持ち、
何事も漏らさず成し遂げることを表しています。
何物にもとらわれず実践するという意であり、するべきことを成就させる智慧、
「成所作智(じょうそさち)」を持つとされます。
左手で衣の端をにぎり、右手、掌を正面に向け胸の前に上げる「施無畏印」(せむいいん)を結んでいます。
これは、畏(おそ)れを持っている人に、それを無くするよう手助けし、
畏れることのない力を人々に与えることを表現しています。
大日如来以外の如来は、1枚の衣をまとうだけで、装飾品は身につけません。
悟りを開いた釈迦の姿を表しているとされます。
また、頭部は如来独特の細かいカールをした髪、螺髪(らほつ)となっており、
開いた蓮の花の上に結跏座(足の裏を上にしたあぐら)されています。
講堂の大日如来像は文明十八年(1486)の土一揆の争いで焼失し、明応六年(1497)に再建されました。
五智如来すべて、同様に焼失再建されており、すべてが重要文化財に指定されています。