こんごうはらみつた・ぼさつ
金剛波羅密多菩薩座像
木造漆箔
江戸時代の後補
金剛波羅密多菩薩は、五智如来の中尊、大日如来が、人々を救済するために、
菩薩(慈悲の姿)に化身したものとされています。五智如来がそれぞれ化身した
五菩薩の中尊となっています。
講堂羯磨曼荼羅(立体曼荼羅)の五菩薩の中尊となっている金剛波蜜多菩薩は
両界曼茶羅(胎蔵界曼荼羅・金剛界曼荼羅)には描かれていません。
五菩薩の原型とされる金剛界曼荼羅の四印会では、東西南北の各菩薩の中心に
大日如来が描かれています。
梵語名ボーデイサットバの音訳「菩提薩タ(タ:土へん+垂)」の略したものが
「菩薩」で、悟りを求めるものと言う意味から、菩薩の姿は釈迦の修行中の姿を
模したとされています。
菩薩は、上半身裸で、女性的な容姿で表現され、大日如来と同じく、
蓮華座に結跏趺坐し、瓔珞(ようらく)、臂釧(ひせん)、
腕釧(わんせん)を身につけ、頭部には冠をかぶっています。
他の菩薩像はすべて平安期、839年に完成、残存しているものですが、
この金剛波羅密多菩薩像は江戸時代に後補されたもので、
国宝・重要文化財のいずれにも指定されていません。